成長ホルモン治療読む時間 約7分
成長ホルモン治療で身長は何cm伸びる?研究の平均と幅、伸びやすい条件
公開日:2026年10月27日 更新日:2026年10月27日
原因の見つからない低身長(特発性低身長)への成長ホルモン治療で上乗せされる大人の身長は、研究の平均で数cmです。専門家の合同見解では3.5〜7.5cmとされています。早めに始めること、両親の身長から見込まれる位置より低いこと、1年目の反応がよいことが、伸びやすい条件です。
研究では、大人の身長は平均で何cm高くなった?
原因となる病気が見つからない低身長(特発性低身長)の子の研究では、治療を受けた子の大人の身長は、受けなかった子より平均で数cm高くなっていました。
2008年に成長ホルモン研究学会などの専門家が合同でまとめた見解では、治療で上乗せされた大人の身長は平均で3.5〜7.5cmです。これは、平均で4〜7年続けた場合の数字です。
コクランの複数の研究をまとめた報告(系統的レビュー、2007年)は、くじで治療を分けた試験(無作為化比較試験)10件を調べています。大人に近い身長まで追った試験の一つでは、治療を受けた女の子は受けなかった女の子より7.5cm高く、別の試験では偽薬のグループより3.7cm高くなっていました。
BMJ誌の報告(2011年)は、くじで分けた試験3件・115人を合わせて、治療を受けた子の大人の身長が受けなかった子より平均0.65SD高かったとしています。くじで分けていない比較試験7件では、平均0.45SDでした。
「治療中に伸びた量」と「治療で上乗せされた量」は違う?
研究の数字を読むときは、「治療を受けた子が伸びた量」と「治療しなかった場合より上乗せされた量」を分けて考えます。子どもは治療をしなくても伸びるので、伸びた量のすべてが治療の効果ではありません。
BMJ誌の報告では、治療を受けた子は治療前より身長のSDスコアが平均1.2上がりましたが、治療を受けなかった子も平均0.34上がっていました。治療の効果は、この差の部分です。
国際的な治療データベース(KIGS)の8万人以上の記録をまとめた2022年の報告もあります。特発性低身長で大人に近い身長まで追えた子の、治療前からのSDスコアの伸びは、中央値で男子1.37、女子1.62でした。ただ、治療しなかった子との比較がないため、すべてを治療の上乗せとは読めません。
SDスコアは、同じ性別・年齢の平均からどのくらい離れているかを表す目安です。読み方は「SDとパーセンタイルの違いは?」のコラムで説明しています。
個人差は、どのくらい大きい?
研究の数字は平均です。どの研究も、一人ひとりの反応の差がとても大きいことを強調しています。
コクランの報告では、1年間の伸びの上乗せは、ほとんどない場合から約0.7SDまで幅がありました。BMJ誌の報告の著者らも、どんな子がよく反応するのかを見分ける研究が必要だとしています。
米国の小児内分泌の学会の指針の解説(2017年)も、特発性低身長ではほとんど反応しない子もいると指摘しています。
コクランの報告では、治療を受けた子も、同じ年ごろの平均的な身長の子と比べると低めのままでした。治療でめざせるのは、平均との差を一部縮めることです。
どんな条件だと、伸びやすい?
KIGSの特発性低身長の子を分析した2007年の研究では、治療への反応と関係する条件がいくつか示されています。この研究で大人に近い身長まで追った256人は、治療開始の平均が10.0歳、身長は−2.5SDでした。
1年目の伸びは、量が多いほど、また始めたときの体重が重いほど大きく、年齢が高いほど小さくなる傾向がありました。両親の身長から見込まれる位置より子どもの身長が大きく下にある子ほど、伸びが大きい傾向もありました。
大人の身長は、始めたときの身長、両親の身長、1年目の反応と関係し、始めた年齢が高いほど低い傾向がありました。特発性低身長の治療をまとめた総説(2008年)も、上乗せに関わる要素として、量、両親の身長との差、年齢、1年目の伸びを挙げています。
まとめると、研究で伸びやすいとされた条件は次のとおりです。当てはまらなくても伸びる子はいます。
- 思春期の前など、早い時期に始めている
- 両親の身長から見込まれる位置より、今の身長が大きく下にある
- 1年目の伸び(反応)がよい
- 学会や添付文書の範囲で、体重に合った量を使っている
1年目の伸びで、何が分かる?
2008年の合同見解は、1年目に身長のSDスコアが0.3〜0.5より大きく上がれば、反応はよいとしています。KIGSの2007年の研究も、思春期前に始めて1年目に十分な反応があった子は、長く続けることで利益を得られる見込みが高いとしています。
反対に、1年目の反応が小さければ、続けるかどうかを見直します。米国の小児内分泌の学会の指針でも、特発性低身長では始めて12か月後に、身長への効果と心の面への影響を見直すよう勧めています。
数か月分の伸びは、測り方の違いで大きくも小さくも見えます。効果の確かめ方は「成長ホルモン治療の効果はいつから分かる?」のコラムで説明しています。
量を増やせば、もっと伸びる?
量が多いほど1年目の伸びが大きい傾向はありますが、大人の身長の差は大きくありません。BMJ誌の報告では、量の違う2つの治療法の間で、大人の身長の差はおよそ1.2cmでした。
日本小児内分泌学会と日本内分泌学会の見解は、量が少ないと一時的に伸びがよく見えても大人の身長は改善しないとしています。多すぎると筋肉痛、むくみ、血圧の上昇、血糖の異常などの副作用が出るおそれがあり、決められた量の範囲で治療することが大切です。
米国の指針も、特発性低身長では量を控えめにする方針です。量は体重に合わせて医師が決めます。家庭で増やしたり減らしたりしないでください。
研究の数字を、わが子に当てはめるときは?
ここで紹介した研究の多くは海外で行われ、思春期の前に始めた子が中心です。思春期が進んでから始めた場合や、骨端線(骨の端にある、骨が伸びる部分)が閉じかけている場合は、同じ結果は期待しにくくなります。
日本小児内分泌学会の見解は、骨年齢で男子15歳・女子14歳以上では、ほとんど効果がみられないとしています。二次性徴が進んで1年の伸びが2cm以下になった場合も同じです。始める時期の考え方は「成長ホルモン治療は何歳から始める?」のコラムで説明しています。
ノビケアでは、見込みをどう説明している?
ノビケアの医師は、身長の記録、両親の身長、思春期の進み方、骨年齢などから、その子に当てはまりやすい研究の数字をご説明します。「何cm伸びる」と約束はしません。
治療を始めたあとも、薬をお出しするたびに診察し、伸びる速さが治療前と比べてどう変わったかを確かめて、続けるかどうかを一緒に判断します。診察や検査で病気が疑われるときは、専門の小児科へご紹介します。
出典 [10]
何cm伸びるかについてよくある質問
Q. 研究の平均くらいは伸びると考えてよいですか?
A. 平均は多くの子の真ん中の値です。平均より大きく伸びる子も、ほとんど変わらない子もいます。1年目の反応を見て見直すのはそのためです。
Q. 早く始めたほうが、よく伸びますか?
A. 研究では、始めた年齢が低いほど反応がよい傾向がありました。身長の低さや両親の身長、骨年齢も関わります。
Q. 治療をやめたら、伸びた分は戻りますか?
A. やめたことで、それまでに伸びた身長が縮むとは考えにくいです。やめたあとは、その子のもともとのペースで伸びていくと考えられます。
まとめ
原因の見つからない低身長への成長ホルモン治療で上乗せされる大人の身長は、研究の平均で数cm(合同見解では3.5〜7.5cm)です。早めに始めること、両親の身長から見込まれる位置より低いこと、1年目の反応がよいことが、伸びやすい条件です。お子さんにどの数字が当てはまりそうかは、ノビケアの医師による無料相談で、成長の記録を見ながらご相談いただけます(予約は公式LINEから)。
出典 [11]
ノビケアの成長ホルモン治療について(自由診療)
ノビケアの成長ホルモン治療は自由診療で、健康保険や医療費助成は使えません。原因となる病気が見つからない低身長への使用は、国内で承認された効能・効果に含まれていない適応外使用です。重い副作用が起きた場合でも、国の医薬品副作用被害救済制度は原則として利用できません。
費用(税込)は、医師による無料相談が0円、医師が必要と判断した場合の郵送検査(指先の血液と尿)が20,000円(送料込み)です。お薬は1本あたり、治療を始める月が40,000円、2か月目以降が60,000円、6か月分一括プランでは50,000円です(注射器・注射針と冷蔵便の送料を含みます)。1か月に使う本数は体重によって変わり、2〜5本が目安です。
注射はご自宅で毎日1回行い、治療は年単位になることが多く、続けるかどうかを定期的に判断します。主な副作用は、注射したところの痛み・赤み・腫れ、関節の痛み、むくみ、頭痛などで、まれに頭の中の圧が高くなる、股関節の骨がずれる、側弯が進む、血糖値が上がる、甲状腺の働きが変わる、といったことがあります。詳しくは「成長ホルモン治療について」のページをご覧ください。ご質問はお問い合わせページから受け付けています。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism「Consensus statement on the diagnosis and treatment of children with idiopathic short stature」(成長ホルモン研究学会・米国小児内分泌学会・欧州小児内分泌学会の合同会議、Cohen P ほか、2008年、PubMed)
- Cochrane Database of Systematic Reviews「Recombinant growth hormone for idiopathic short stature in children and adolescents」(Bryant J ほか、2007年、無作為化比較試験10件、PubMed)
- BMJ「Impact of growth hormone therapy on adult height of children with idiopathic short stature: systematic review」(Deodati A、Cianfarani S、2011年、無作為化比較試験3件・115人など、PubMed)
- 文部科学省「令和7年度学校保健統計(学校保健統計調査の結果)について公表します」(PDF、令和8年2月13日)
- Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism「Safety and Efficacy of Pediatric Growth Hormone Therapy: Results From the Full KIGS Cohort」(Maghnie M ほか、2022年、成長ホルモン治療を受けた子ども83,803人の国際データベース、PubMed)
- Current Opinion in Pediatrics「Growth Hormone Treatment for Growth Hormone Deficiency and Idiopathic Short Stature: New Guidelines Shaped by the Presence and Absence of Evidence」(米国小児内分泌学会2016年指針の作成者による解説、Grimberg A・Allen DB、2017年、PubMed)
- Hormone Research「Age at growth hormone therapy start and first-year responsiveness to growth hormone are major determinants of height outcome in idiopathic short stature」(Ranke MB ほか、2007年、国際データベースKIGSの特発性低身長の子ども、PubMed)
- Growth Hormone & IGF Research「Idiopathic short stature: management and growth hormone treatment」(Wit JM ほか、2008年、特発性低身長の治療に関する総説、PubMed)
- 日本小児内分泌学会「成長ホルモンとは」
- ノビケア「成長ホルモン治療について」(費用・副作用・適応外使用)
- ノビケア「お問い合わせ」