成長ホルモン治療読む時間 約7分
1〜2年だけの成長ホルモン治療でも意味はある?短い期間で考えること
公開日:2026年10月27日 更新日:2026年10月27日
1〜2年だけの成長ホルモン治療でも、伸びる速さが上がることは多くあります。ただ、治療中に速く伸びた分が、そのまま大人の身長の差として残るとは限りません。研究で示される平均の上乗せは、4〜7年続けた場合の数字です。思春期の前か、骨端線が閉じかけてからかで、意味は大きく違います。残りの期間と、1年目に何を見て判断するかを、先に決めておきましょう。
1〜2年しか治療できないのは、どんなときですか?
成長ホルモン治療が効くのは、骨の端にある骨端線(骨が伸びる部分)が開いている間だけです。日本小児内分泌学会は、骨年齢で男子16.0歳、女子14.6歳を超えると、骨端線が閉じたのに相当するとしています。
思春期が進んでから相談した場合や、骨年齢が暦の年齢より進んでいる場合は、残りが1〜2年ほどのことがあります。引っ越しや進学、家計、本人の気持ちなどで、はじめから短い期間で考えるご家庭もあります。
「短い期間しかない」のか「短い期間で区切りたい」のかで、考え方は少し変わります。どちらでも出発点は、骨年齢や思春期の進み方から残りの期間を確かめることです。骨年齢の見方は「骨年齢とは」のコラムで説明しています。
短い期間でも、伸びる速さは上がりますか?
上がることが多いです。添付文書にある国内の臨床試験でも、伸びの速さは治療1年目がもっとも大きい傾向でした。国際的な治療データベース(KIGS)の2022年の報告は、思春期前の、原因の見つからない低身長(特発性低身長)の子を調べています。1年目の身長SDスコアの上がり方は、中央値で0.55でした。
一方、複数の試験をまとめた報告(コクランの系統的レビュー、2007年)では、1年間の上乗せは、ほとんどない場合から約0.7SDまで幅がありました。短い期間で考えるほど、1年目の反応が大切です。1年目の伸びの見方は「成長ホルモン治療の効果はいつから分かる?」のコラムで説明しています。
短い期間だからこそ、1年目に何を見ればよい?
専門家の合同見解は、1年目に身長のSDスコアが0.3〜0.5より大きく上がれば、反応はよいとしています。SDスコアは、同じ性別・年齢の平均からどのくらい離れているかを表す目安です。
KIGSで特発性低身長の子を分析した2007年の研究では、思春期の前に始めて1年目に十分反応した子は、続けることで利益を得られる見込みが高いとされています。1年目の反応が小さく、残りの期間も短いなら、続けても上乗せできる幅は小さくなります。米国の小児内分泌の学会の指針の解説(2017年)も、12か月後に効果を見直すよう勧めています。
数か月分の伸びは、測る時間帯や姿勢のわずかな違いで大きく変わって見えます。家で測るときも、朝など時間帯をそろえ、靴下を脱いで同じ方法で測りましょう。始める前の1年間の記録があると、治療で伸びる速さがどう変わったかを比べやすくなります。
短い期間の伸びは、大人の身長として残りますか?
ここが、短い治療でいちばん注意したい点です。同じ解説は、治療中の伸びの速さや予測身長の変化では、多くの子で大人の身長を確かには言い当てられないとしています。治療中に速く伸びた分が、そのまま大人の身長の差になるとは限りません。
オランダで、思春期が比較的早く始まった子に、成長ホルモンと思春期を遅らせる薬を3年間使った試験があります(くじで治療を分けた試験=無作為化比較試験、2007年)。治療をやめた時点で見込まれていた上乗せの半分が、その後に失われました。大人の身長そのものは、治療しなかったグループと差がありませんでした。
専門家の合同見解(2008年)が示す大人の身長の上乗せ(平均3.5〜7.5cm)は、平均4〜7年続けた場合の数字です。1〜2年の治療で、同じだけの上乗せは見込めません。
思春期に入ってからの短い治療は、どう考える?
日本小児内分泌学会と日本内分泌学会は、次の場合はほとんど効果がみられないとしています。骨年齢で男子15歳・女子14歳以上の閉じかけの時期と、二次性徴が進んで1年の伸びが2cm以下になった場合です。残り1〜2年なら、まずこの目安に近づいていないかを確かめます。
思春期の前に始めた治療には、別の見方もあります。米国の複数の施設で特発性低身長などの72人を調べた研究(2025年)では、思春期前の治療で予測身長は上がりました。ただ、思春期の間も続けても、平均してそれ以上の上乗せは見られませんでした。研究者は、十分な予測身長に届いた時点で、続けるかどうかを考えてよいとしています。
同じ「1〜2年」でも、思春期の前の1〜2年と、骨端線が閉じかけてからの1〜2年では、意味が大きく違います。始める時期の考え方は「成長ホルモン治療は何歳から始める?」のコラムで説明しています。
短い期間で始めるなら、何を決めておけばよい?
短い治療ほど、始める前の取り決めが大切です。次の点を、家族と医師で確かめておきましょう。
とくに「何をもって成功とするか」は、大人の身長の数字ではなく、伸びる速さの変化など確かめられるもので決めておきましょう。途中でやめたときの費用は「途中でやめたときの費用」のコラムでご確認ください。
- 残りの伸びる期間の見通し(骨年齢、思春期の進み方)
- 1年目の何を見て、続けるかやめるかを決めるか
- 伸びる速さがどのくらい変われば「反応あり」とするか
- 予定より早くやめる場合と、延ばしたくなった場合の考え方
- 期間全体でかかる費用の見通し
短い治療を終えたあとは、どうなる?
治療をやめても、それまでに伸びた身長が縮むとは考えにくいです。まだ伸びる時期にやめれば、その子のもともとのペースで伸びていきます。
ただ、先に紹介したオランダの試験のように、見込まれていた上乗せが、やめたあとに小さくなることがあります。終えたあとも身長の記録を続け、大人の身長に近づくまでの伸び方を見ておきましょう。やめる時期の考え方は「成長ホルモン治療は何歳まで?」のコラムで説明しています。
治療期間が短いと分かったとき、ほかにできることは?
治療をするかどうかにかかわらず、食事、睡眠、運動を整えて、伸びを妨げない生活を続けることが土台です。ただし日本小児内分泌学会は、健康な子の背を高くする効果が科学的に証明された食品やサプリメントの成分はないとしています。
専門家の合同見解は、背が低いことへの心理的な相談を、治療の代わりに、または治療と合わせて考える価値があるとしています。残りが短いと分かったときこそ、本人の気持ちを聞き、身長以外の困りごとへの支えも考えましょう。
頭痛が続く、吐く、見えにくい、のどが渇く・尿が多い・体重が減る、といった症状があるときは、身長の相談とは別に、早めに医療機関を受診してください。
短い期間の成長ホルモン治療についてよくある質問
Q. 中学生で残り2年ほどと言われました。今から始める意味はありますか?
A. まず、骨年齢や1年の伸びが、学会の示す「ほとんど効果がみられない」目安に近づいていないかを確かめます。そのうえで、1年目の反応を見て判断する形で始めることはできます。
Q. 1年で区切って、伸びがよければ延ばすことはできますか?
A. できます。1年目の反応がよいときは、続ける意味が大きいとされています。延ばす場合の費用や生活の負担も、先に考えておきましょう。
Q. 短い治療でも、副作用の心配は同じですか?
A. 副作用は期間にかかわらず起こりえます。治療中は、注射したところの痛みや腫れ、頭痛、むくみなどがないかを定期的に確かめます。
まとめ
1〜2年の成長ホルモン治療でも、伸びる速さは上がることが多いです。ただ、大人の身長への上乗せは、長く続けた場合と同じだけは見込めません。思春期の前か、骨端線が閉じかけてからかで、意味も大きく変わります。残りの期間の見通しと、1年目に何を見て判断するかは、ノビケアの医師による無料相談で、成長の記録を見ながらご相談いただけます(予約は公式LINEから)。
出典 [13]
ノビケアの成長ホルモン治療について(自由診療)
ノビケアの成長ホルモン治療は自由診療で、健康保険や医療費助成は使えません。原因となる病気が見つからない低身長への使用は、国内で承認された効能・効果に含まれていない適応外使用です。重い副作用が起きた場合でも、国の医薬品副作用被害救済制度は原則として利用できません。
費用(税込)は、医師による無料相談が0円、医師が必要と判断した場合の郵送検査(指先の血液と尿)が20,000円(送料込み)です。お薬は1本あたり、治療を始める月が40,000円、2か月目以降が60,000円、6か月分一括プランでは50,000円です(注射器・注射針と冷蔵便の送料を含みます)。1か月に使う本数は体重によって変わり、2〜5本が目安です。
注射はご自宅で毎日1回行い、治療は年単位になることが多く、続けるかどうかを定期的に判断します。主な副作用は、注射したところの痛み・赤み・腫れ、関節の痛み、むくみ、頭痛などで、まれに頭の中の圧が高くなる、股関節の骨がずれる、側弯が進む、血糖値が上がる、甲状腺の働きが変わる、といったことがあります。詳しくは「成長ホルモン治療について」のページをご覧ください。ご質問はお問い合わせページから受け付けています。
お子さまの身長の伸び方が気になる場合は、医師による無料相談で、これまでの記録を見ながらご相談いただけます。予約は公式LINEからお受けしています。
公式LINEで無料相談を予約するこの記事は、ノビケアの医師が内容を確認しています(編集方針)。
参考にした資料
- 日本小児内分泌学会「成長ホルモンとは」
- 横浜市立大学附属 市民総合医療センター「低身長」
- PMDA「ノルディトロピン フレックスプロ注 添付文書」(2025年9月改訂 第3版)
- Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism「Safety and Efficacy of Pediatric Growth Hormone Therapy: Results From the Full KIGS Cohort」(Maghnie M ほか、2022年、成長ホルモン治療を受けた子ども83,803人の国際データベース、PubMed)
- Cochrane Database of Systematic Reviews「Recombinant growth hormone for idiopathic short stature in children and adolescents」(Bryant J ほか、2007年、無作為化比較試験10件、PubMed)
- Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism「Consensus statement on the diagnosis and treatment of children with idiopathic short stature」(成長ホルモン研究学会・米国小児内分泌学会・欧州小児内分泌学会の合同会議、Cohen P ほか、2008年、PubMed)
- Hormone Research「Age at growth hormone therapy start and first-year responsiveness to growth hormone are major determinants of height outcome in idiopathic short stature」(Ranke MB ほか、2007年、国際データベースKIGSの特発性低身長の子ども、PubMed)
- Current Opinion in Pediatrics「Growth Hormone Treatment for Growth Hormone Deficiency and Idiopathic Short Stature: New Guidelines Shaped by the Presence and Absence of Evidence」(米国小児内分泌学会2016年指針の作成者による解説、Grimberg A・Allen DB、2017年、PubMed)
- J Clin Endocrinol Metab「Final height outcome after three years of growth hormone and gonadotropin-releasing hormone agonist treatment in short adolescents with relatively early puberty」(van Gool SA ほか、2007年、オランダの無作為化比較試験32人、PubMed)
- Journal of Pediatric Endocrinology and Metabolism「Do patients with idiopathic short stature or partial growth hormone deficiency need to continue growth hormone therapy during puberty?」(Cantas-Orsdemir S ほか、2025年、米国の多施設の72人の後ろ向き研究、PubMed)
- ノビケア「成長ホルモン治療について」(費用・副作用・適応外使用)
- 日本小児内分泌学会「「身長を伸ばす効果がある」と宣伝されているサプリメント等に関する学会の見解」(2025年9月8日改定)
- ノビケア「お問い合わせ」